腱鞘炎・ばね指

腱鞘炎・ばね指の改善・予防をするためには、腱鞘の役割や腱鞘炎の原因を知ることも大切です。

●腱鞘の役割

腱鞘は、骨と筋肉をつなぐ腱のまわりにある組織です。
刀を納める鞘（さや）のように腱を保護しているため、「腱鞘」と呼ばれています。
腱を包みこむことで指や手首を曲げ伸ばす際の滑らかな動きをサポートしています。

●腱鞘炎の原因

腱鞘炎の原因として、次のようなことが考えられます。

・手のつかいすぎ

腱鞘炎は、手をつかいすぎたときによく起こります。
パソコンのタイピングやピアノ演奏、指や手を動かす仕事などが原因となりやすいです。
近年では、長時間のスマホ操作やゲームのプレイなどによって、腱鞘炎になる方も増えています。

・筋力の低下

筋力が低下していると、腱に負担がかかり、腱鞘炎が起こりやすくなります。

・ホルモンバランスの影響

女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、組織を滑らかに保つ作用があるといわれています。
そのため、妊娠・出産や閉経などによって、エストロゲンの分泌量が減ると、腱鞘炎が起こりやすくなります。

●ばね指（弾発指）

ばね指とは、指に生じる腱鞘炎のことです。
指の付け根にある屈折腱と腱鞘の間で炎症が生じます。
おもな症状は、次のとおりです。

・指の付け根の痛みや腫れ
・カクカクとしたぎこちない指の動き
・ばね現象（指を動かすとばねのように反発する現象）

症状が進行すると、指が動かしにくくなります。

●ドケルバン病（狭窄性腱鞘炎）

ドケルバン病とは、手首で起こる腱鞘炎のことです。
親指側にある腱鞘と腱の間で炎症が起こります。
おもな症状は、次のとおりです。

・親指の痛みや腫れ
・親指を動かしたときの強い痛み

症状が進むと、手に力が入りにくくなります。

腱鞘炎・ばね指のおもな施術法は次のとおりです。

●手技療法

実際に身体を触って確認し、筋肉や腱の状態をチェックします。
筋肉の緊張が関係しているようであれば、その部分をもみほぐします。

●テーピング

腱鞘炎は、手を休ませることが大切です。
しかし、手を完全につかわないということは困難ではないでしょうか。
そのため接骨院では、テーピングによって手や指への負担を減らし、痛みが出にくくなるように対処します。

●ハイボルト療法

他部位の筋肉の硬さが原因で腱鞘炎が起きている場合は、ハイボルト療法をおこないます。
ハイボルト療法とは、高い電圧の電気刺激を筋肉や靱帯に浸透させる施術です。
ハイボルトは深層の筋肉にも届きやすいという性質があり、高い電圧で筋肉の緊張を一時的にほぐす作用があります。

●超音波療法

超音波療法とは、人間の耳には聞こえない200kHz以上の超音波を使用した施術です。
目にみえない細かな振動を与えることで細胞間の循環が良くなり、腫れの軽減に役立つといわれています。

●鍼灸療法

腱鞘炎には、鍼灸療法で対応することもできます。
鍼や灸の刺激によって硬くなった筋肉を緩め、手指の負担を軽くします。

●施術期間

腱鞘炎・ばね指の程度にもよりますが、施術にかかる期間は数週間から数か月が目安です。
週に1〜2回の施術が望ましいですが、ご都合にあわせて柔軟に対応します。
手や指をつかいすぎてしまうと長引きやすくなるため、施術だけでなくセルフケアにも力を入れましょう。

●施術過程

まずは、筋肉や腱の状態を確認し、どうして腱鞘炎・ばね指になってしまったのかを探ります。
原因がわかったら、手技療法や鍼灸療法、ハイボルト療法などを組み合わせ、その原因にあった施術をおこないます。
そして、ふたたび腱鞘炎・ばね指にならないよう、一人ひとりの生活スタイルにあったアドバイスもさせていただきます。

腱鞘炎・ばね指になってしまった際は、次のように対処しましょう。

●安静にする

腱鞘炎になっているのにもかかわらず、無理に手を動かしてしまうと、さらに症状が強まってしまいます。
腱鞘炎の症状があるときは、なるべく手を動かさないようにしましょう。

●痛みを感じるときは冷やす

炎症が起こって腫れや痛みがみられるときは、患部を冷やしましょう。
冷やすことで血管が収縮し、炎症の広がりを抑えられます。
凍傷を防ぐために、氷や保冷剤はタオルに包んで当てましょう。

●炎症が落ち着いたら温める

炎症が落ち着いたり、慢性化したりしているようであれば、患部を温めましょう。
温めることで一時的に手の血流が良くなり、症状の軽減につながります。

腱鞘炎・ばね指を防ぐために、普段の生活では次のような点を意識しましょう。

●手や指を休める

腱鞘炎・ばね指は、手や指のつかいすぎがおもな原因です。
手を酷使するスポーツや仕事、家事をしている方は、こまめに手や指を休めるようにしましょう。

●ストレッチをおこなう

手指のストレッチで柔軟性を保ちましょう。
ばね指を予防するグーパー体操をご紹介します。

Step1：両手をパーの形にして開き、それぞれの指が反るぐらいまっすぐ伸ばします。
Step2：その状態から、指を曲げてグーの形にして、3秒間ギュッと握ります。
Step3：1と2を10回繰り返しましょう。

●正しいフォームを心がける

間違ったフォームによって手首に負担をかけ、ドケルバン病の腱鞘炎を起こすことがあります。
スポーツをしている方は、正しいフォームができているかどうかチェックしましょう。